左側の記憶

いつも彼女が左側、



僕は右側を歩いていました。



お互い、そうじゃないと気持ちが悪かった。





久しぶりのショッピングモール。

来る前から、 少し嫌な予感がしていました。




車のドアを開けると、


眩しすぎる光。




僕の横を


不自然に風が通り抜ける。




重い足取りで店内に入ると、


だんだんと込み上げてきました。








左側に


彼女がいない。






それだけで



涙が出てきました。






マスクをしていて良かった。




一応、周りを見回してみる。



やっぱりいない。






広い店内をひとりで歩く。




彼女がいたときは、

ひとりで来ても、 平気だった。




娘に、 左側を歩いてもらえば、



少しは救われるだろうか。