彼女はバツ2のシングルマザー、僕はずっと独身。
そんな二人は愛し合っていた。
もちろん僕は、娘もひっくるめて愛おしい。
結婚するかどうかは、僕の決断次第だった。
彼女の両親には認められていたが、僕の両親は猛烈に反対。
彼女にはもう1つ、健康上の問題があった。
だいたいの親は反対するだろう。
結局、家族の反対を押し切ってまで結婚できなかったが、
もし結婚していたらどうなっていただろう?
今までそれを何度も想像してきた・・。
一番心配していたのは、嫁姑問題がどっちに転ぶか。
彼女は意外と年配の奥様に気に入られたりしてした。
明るいし、外では言葉遣いが丁寧で好感が持てる。
「なんで、そんな丁寧にしゃべるの?」
と聞くと、それが自然みたい。
父親の事業で、子どもの頃から接待に付き合わされていたので、その経験のおかげだと思う。
ただ、内と外では話が違ってくる。
母はなかなかに固い。
キレイ好きで何事もキッチリしている。
でも、彼女は真逆。
最初は気を付けていても、綻びが出るはず。
会話も噛み合わなそう。
お互いにストレスが溜まり、彼女が出て行ったりしたかも知れない。
・・ちょっと悪い方を想像してしまいがち。
でも、仲良く料理したり、買い物に出かけたり、そうなっていたらうれしかったし、そうなるように努力していただろう。
彼女の健康については、結婚していたらこんな結末にはならなかったと思う。
彼女は毎日、まあまあの量の缶ビールを空けていた。
それが母の目があれば、もっと減っていただろう。
食生活についても、もっと健康的だったはず。
それから娘のこと。
母ははっきりと、
「血のつながってない子はどうしても可愛がれない。」と言った。
非情にも聞こえるが、一般論である。
だが、これを乗り越えなければ次はない。
娘は中学生のとき、友達と揉めて引きこもりになった。今も完全には傷は癒えてない。
この状態で連れてきて、母が娘のサポートをできるかと言ったら、ちょっと難しかっただろう。
娘自身、こっちに転校したら何か変わっただろうか?
僕は変わらなかったと思う。むしろ、もっと悪くなっていたんじゃないだろうか。
引きこもっていたとしても、心配してくれる先生や友達はいた。
知らない土地に来たら、中身の状態は変わらないわけだから、相談できる人がいなくなって、ますます内にこもってしまうと思う。
母のことも、僕の母なので、おばあちゃんとは呼んでくれると思うが、親しみを感じてもらえるかは疑問。
僕はどうか。
たぶん、母と彼女の間に挟まれて、両方からいろいろ言われる立場。
これは結婚しなくても同じだが、ごまかしが全然効かないだろう。
二人が上手くやっているか、いつも心配してて、仕事が手に付かない日もありそう。
経済的には楽だったはず。
自宅の家のローンがまだあり、彼女に毎月渡す分もあった。
つまり、2軒分の支出があった。それが1軒分となればどれだけ余裕ができたか。
彼女もこっちに来れば、もっと働けたと思う。
支出面だけでなく、庭の手入れとかエアコンや給湯器が壊れたとかもあるし、移動の問題も大きい。
良いことも多いが、どうしても悪い方の想像が膨らんでしまう。
それだけ、結婚は現実的な問題でもある。
結婚することは、それぞれにとってどうなのか?
起こりうることを考えて、慎重に判断したい。
もし、結婚できないのに一緒に居続けたいなら、相手の人生に責任を持つ覚悟は必要だと思う。
もし、あのとき二人が結婚できていたら・・。
今より幸せだったかもしれない。 もっと大変だったかもしれない。
それは、もう確かめようがないが、1つだけ分かっている。
結婚できなくても、僕たちは22年間も一緒に生きた。