母はあれ以来、たぶん僕を信じてない

中学のとき、僕は幼なじみと一緒に進学塾へ
通うこととなった。

塾までは自転車で約5kmだった。



僕はそんなに勉強が得意ではない。

真ん中くらいの成績。



だから、塾のレベルについていけず、


通うのがとても嫌だった。



幼なじみの彼は、小学校では優秀だったが、


中学では伸び悩んでいた。


彼もまた、塾へ向かう足取りが重かったようだ。



けっこうそういう子はいる。

僕の弟もそうだし、彼女もそのタイプだった。

でも、彼女はスキーがあったので仕方がない。



ある日、幼なじみの彼が言った。


「めんどくさいね、サボっちまうか?」

「・・あ、うん。」


これが、僕のサボり人生の始まり。



このときまで、
僕にはサボるという概念はなかった。


二人は、学校近くの本屋で時間を潰した。


その日以来、ほとんど塾には行っていない。



途中から幼なじみの姿が記憶から消えてるので、

たぶん先に塾をやめていたんだと思う。




そして、問題の日がやってきた。



僕は相も変わらず、本屋へ直行。


しばらくして急に雨が降ってきた。


傘は持っていない。




心配した母親が、
なんと塾へ傘を届けに行ったのだ。


「〇〇ですが、息子に傘を・・」

「お母さん、〇〇くん今日は見えてませんよ」

「何か、〇〇市へ用事があって行かれてると、
 連絡がありました」


僕はいつも無断で休んでいたが、

この日に限って、塾へ適当な理由を付けて
休みの連絡をしていたのだ。


〇〇市へは普通に考えると
電車で行くことになるので、


母はそのあと、駅に傘を届けに行った。



自転車を一台一台確認したそうだが、

当然ないので、そのまま帰ってきた。


今みたいに携帯があれば、
こんなことにはならなかっただろう。




僕はそんなことも知らず帰宅。


母から一連の話をされ、問いただされた。



僕は一生懸命、言い訳を考えこう答えた。


「あー、今日はいつもと違う隣りの教室だった」


「もう一人、同じ苗字の子がいるから、
 先生その子と勘違いしたんじゃない?」


この場はそう取り繕って、なんとか難を逃れたが、
疑いは晴れてなかった。


後日、

「それじゃ、先生に確認するけどいい?」


「いいよ。ちゃんと聞いてみてよ」


何の根拠もなく、僕は自信を見せた。




そして、まんまと嘘がバレてしまった。



再び、母が問いただす。


「何で塾行かないの?高いお金払ってるのよ!」



「だって、行ったって全然わかんないんだもん!」


「みんな頭のいい子ばっかり、俺には難しすぎるよ!」


・・・・


「そうなの?じゃ、やめる?」



僕は塾をやめることになった。


塾は大きなストレスだったので、

肩の荷が下りた感じだ。



これ以来、母は僕が言ってることが本当なのか、

いつも疑っている。


そして、ずっと根に持っていた。

「パートして貯めたお金をドブに捨てていた」

とはっきり言ったので。



それは確かにそう。


今でも申し訳なかったと思う。


ただ、子どもの気持ちも大事。




彼女も娘を塾へ行かせていたが、

成績は全く上がらず、意味があった気がしない。



結局、本人のモチベが低いままやってても、
元が取れない。




それはそうと、母親に信じられてないというのは、


けっこうつらいものがある。



彼女とのことがあったから、余計なのかな。