心の扉

バイト時代のモテ期を不意にしたあとの僕には、



長い氷河期が待っていた。





大学を卒業して最初に入った会社では、女性社員は2人いたが、



恋愛対象になるような感じではなかった。






仕事が終わると、上司から頻繁に夜の街へ誘われたが、




生真面目な僕は、だいたい断っていた。






ブラック寄りな会社だったし、普通は断れるような時代じゃなかったが、



僕には変な強さがあったのか。




でも、タダ酒が飲み放題で、タダでキャバクラとかも楽しめたはずなのだから、




いま考えるともったいない。







ある日、同僚の知り合いの女の子と一緒に遊ぶことになった。




3対3だった。女の子の一人が僕に興味を持ってくれた様子。






だけど僕の方は何とも・・・。それだけ。






それだけだけど、これを最後に何年もず~っと無風状態が続くことに。





出会いの機会を作らなかったこともあるが、




そもそも僕は、人見知りだし、人付き合いが苦手。







いわゆるコミュ障。今でもそんなに変わらない。




弟の家族が来ても、甥っ子と姪っ子になかなか話しかけられないし、




長年、一緒に仕事をしている同僚とも腹を割った話ができない。




母親との会話ですら、ハキハキと言葉が出てこない。








でも、30歳で出会ったシンママの彼女は違った。





あんなに心を許せる人はいない。唯一無二だった。




恐らくもうこんな人は現れないだろう。






僕は、人と話していてもすぐに疲れてその場を離れたくなってしまうが、






彼女とはずっと話していられた。




僕と彼女は、趣味も性格も真反対と言える。





ただ、彼女いわく、「笑いのツボが一緒」だったらしい。




あと旅行好きね。






彼女とは仕事上のメモ交換から仲良くなっていった。




コミュ量が多くなれば、それが愛情に変わることもある。






彼女の心の扉はずっとOPENだったので、




会話が苦手な僕でも、うまくコミュニケーションが取れた。





「あ、なんか俺、女性とうまく話せてる。」





確か、最初はこんな感情からスタートした気がする。







いつもそばにいてもストレスを感じない。




自分が自然体だし、積極的ですらある。






そんな人は初めてだった。