血が止まらない夜、僕は寝ていました

ニューカレドニアから帰ってきて、最初のLINEが来ました。

「顔、血管関係なんだって。」


旅行の少し前から、頬に赤い点がありました。

クモ状血管腫。


帰国後すぐ病院に行っていたので、

旅行中から気になっていたんだと思います。


「ほっとくと、大きくなるから、早めにした方がいいんだって。」


僕は、「あとが残らなければいいね」


と返しました。



それから、5日後。

深夜1時54分。


「やべ、血が止まんねー。」



画像が一緒に送られてきていました。


床に、血がぼたぼたと落ちている。



僕は寝ていて、気づきませんでした。



気づいたのは、翌朝9時26分のLINE。

床が真っ赤に染まった画像。

「まだ血が止まらない。」



しばらくして、もう一通。


「北海道ぽくなりました。」



こんな状況でも、冗談を言う人でした。




数日後、やっと手術。

その頃、家の中も少しずつ変わっていきました。


愛犬のしつけがうまくいかない。


糞尿の片付けが続く毎日。

夜中に鳴いて起こされる。


眠れない夜。

娘とも、ぶつかることが増えていった。

LINEの内容も、少しずつ変わっていきました。

「素敵なお母さんは、できないよ。」

「頑張っているつもりだけど、無理だ。」

「痛いし、かゆいし、うんこ臭いし、泣きたくなんね?」




あの海から、

まだ、そんなに時間は経っていませんでした。