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Story

  • 2026年5月2日

それでも、僕は生きる

前と同じようには、もう生きられない。 それは、 はっきり分かっている。 何かが戻ることも、 きっとない。 僕の人生のピークは、 もう過ぎたのだと思う。 時間は止まらない。 だから、 どんな形になるのかは分からないけど、 このまま、生きていくしかない。 彼女がいるのが、あたり前だった。 でも、 あたり […]

  • 2026年5月1日

残された役割

この年で、ひとりになった。 母はいるけれど、 それとは少し違う。 自分のために生きる理由が、 正直、よく分からない。 だから今は、 娘の幸せを願うことくらいしか、 意味を見いだせていない。 引きこもりだったのに、 親も祖父母もいない中で、 ひとりで生活している。 寂しさは、きっと僕の比じゃない。 家 […]

  • 2026年5月1日
  • 2026年5月1日

神頼み

いつもは元気な彼女だったが、 たまに大きな病気をしていた。 そういう時、 僕はよく神頼みをしていた。 そのたびに、 助けてもらっていた気がする。 だから今回も、 大丈夫だと思っていた。 遠くまで霊水を汲みに行ったこともある。 最初の病気がよくなったのは、 そのおかげだと思っていた。 もう何年も飲んで […]

  • 2026年4月30日
  • 2026年4月30日

彼女に会えない世界

彼女のいない世界に、 僕はまだ生かされている。 周りは、何も変わっていない。 だから、 どうにかすれば、 また会えるんじゃないかと、 まだ少しだけ思っている。 でも、 どこにもいない。 探す場所が、分からない。 せめて、 夢の中でくらい、 会わせてほしい。 それすら、 かなわない。 いったい、どこに […]

  • 2026年4月30日

旅の話

近ごろは、旅番組が多い。 「5チャン、見て」 「中華街やってるぅ~。点心食べにいきた~い」 彼女と、よく旅の話をした。 コロナ以降は、 ほとんど出かけられなかった。 それでも、 生きてさえいれば、 いつか行けると思っていた。 今は、 出かける相手がいない。 旅番組を見ても、 何も残らない。

  • 2026年4月29日
  • 2026年4月29日

彼女の余韻

彼女がいた部屋の冷蔵庫に、 アイスの実が4袋、残されていた。 「もうひとつ」 「あと1個」 「あと2個」 「明日食べるの、なくなっちゃうよ」 「ごはん食べてからにしなよ」 僕も、いくつかもらった。 彼女の最期の何日かは、 それさえ口にできなかった。 残されたアイスの実を持ち帰り、 1日、1つか2つず […]

  • 2026年4月28日

葛藤

彼女が長くないのは、分かっていた。 「私、死ぬの?」 何度か、そう聞かれた。 どう答えればいいのか迷いながら、 「それはまだ分からない。がんばり次第だよ」 と答えていた。 苦しくて、 「早く、死にたい」 とこぼすこともあった。 そのたびに、 彼女の望むようにさせたい気持ちと、 少しでも長く生きていて […]

  • 2026年4月27日

少しだけ近づく

しばらくの間、 娘とは距離があった。 着信拒否まで、されていた。 母親の体調が悪くなって、 少しずつ変わった。 そして、彼女がいなくなってから、 いつでも連絡がとれるようになった。 理由は、よくわからない。 それでも、 距離が近くなったことは、うれしい。 母とも、同じような気がする。 父が亡くなって […]

  • 2026年4月26日

付き添い

病院へ向かう道。 以前は、彼女を乗せていた。 車を停めて、 助手席のドアを開ける。 帰りに、少し寄り道をした。 今日は、母を乗せている。 やることは、だいたい同じ。 それでも、 まったく違う時間に感じる。 待合室では、 スマホばかり見ている自分がいた。

  • 2026年4月25日

無意識に

少し大きめな地震がきた。 揺れ始める前に、 音を感じる。 「あっ、来るよ」 ・・・ 「でかいかも」 家全体が、大きく揺れる。 テレビを押さえる。 しばらくして、 揺れがおさまった。 スマホを手に取る。 「大丈夫だった?」 打ちかけて、 やめた。